中国電信(0728)を調査してみた
コロナで世間は騒ぎ、株価が大きく下落している。
バリュー観点で言うと、健康な企業まで売りに出されるので『お得期間』だと言えるだろう。
ただ、私は現金保有がほぼ無いに等しい為、有名どころの健康企業が買える訳でもない。
普段通り企業価値評価を進め、自分の手が届く企業を地道に買い進めていくしかない。歯がゆい気持ちが少々ある。
今回は中国の通信会社大手『中国電信』の年次レポートを見てみた。
『中国電信』は携帯電話では国内3位だが、固定通信キャリアでは中国最大手だそう。
2018年度の連結業績による売上高は377,124百万人民元だ。日本円で言うと5.76兆円。。!
日本では5兆円を超える売上高の企業は30社も無いだろう。
携帯シェア率約40%でトップのNTTドコモですら4.8兆円だ。
人口の差なのか、規模の差を感じる。
さて、肝心の企業価値について。
結論としては、『見送り』だ。
市場としては、割高な評価をしているという結果に終わった。
詳しく見ていこう。
NOPAT(税引後営業利益)は安定して20,000百万人民元(約3,000億円)を推移している。
グロース株(成長)を狙いたい訳ではないので、大きく乱高下していなければ、横ばいでも気にはしない。ひとまずNOPATはクリアだ。
ユーザー数は堅調に右肩上がりらしく、13年には1億件を超えているよう。
その割には売上高の伸び幅が少ないので、少しばかり気になるポイントだが、ここはスルーして他の数字を見に行く。
有利子負債と株主資本、そしてNOPATの推移を一緒にしてみた。
これだけだと良いのか悪いのか分かりづらい。
なので、ROIC(投下資本利益率)とWACC(加重平均資本コスト)の推移を見てみよう。
私が固く見ているせいもあるかもしれないが、WACCがROICを上回っている。
(CAPM算出時:リスクフリーレート中国10年国債3%~4%・マーケットプレミアム6%)
=会社の生み出す価値より、債権者・株主にお返しする価値が上回っているという状態だ。
この時点で買う気は失せた。
フリーキャッシュフローも見てみたが、マイナスな状態が続いており、その影響で年々CASHも減っているように見える。
主な要因として、『設備投資』と『借入金返済だ』
設備投資は、13年頃から毎年1.2兆かけて行っている。
中国の通信企業トップを走る『中国移動』も同様だが、揃って営業CFの約9割近くを設備投資に費やしている。でかすぎだ!何を設備投資しているのか分からない。(レポートにはビッグデータの精密投資云々と書いてある)
そして『借入金返済』だが、2年に一度は返済額を大きく上回る額を借り入れている。
リターンが謎な設備投資が原因だと思うので、この謎がクリアになるまでは買うつもりはない。
恐らくクリアになることはないだろうが。。
ざっくり評価なので、ここから更に精度をあげていきたい。